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『聲の形』がいじめっこ向け感動ポルノ? [創作・表現・作品感想]

「『聲の形』はいじめっこ向け感動ポルノなのか?」
http://togetter.com/li/1027520#c3079926

私は、少年マガジンの原作・漫画のほうの読み切りは読んだことがあるが、今回の映画は観てない。
なので上に示した他の人の意見や感想について、思ったことを語ってみる。

まず「いじめられていたヒロインが善人過ぎる」という声が多かったようだ。
他の人のコメントをざっと読んだが、意外と現実主義者が多いのだな、と思った。

いじめられたことのある人間からしてみれば、違和感のある話、あるいはきれいごとに思えたのだろう。

そうそう、少年マガジンでいじめられっこだった主人公というと、「はじめの一歩」を思い出す。
一歩君も、現実的ではない善人だよね。 そして歪んだところがなく、実はとても(精神が)強いよね。
一歩君がボクシングで強くなり、いじめっ子たち(梅沢君・・・たしかそういう名前だったよな)とも和解するよね。

でも「はじめの一歩」で、このイジメ解決について、「都合よすぎる」「きれいごと」などの感想は聞いたことはない。ほとんどの人は、あの場面を見て、素直に「良かった」と思えたのではないんだろうか。

一歩君は理想のヒーローだし、理想の解決をした。(昔の少年漫画の王道じゃ)

『聲の形』はなぜ感動ポルノと言われてしまうんだろう。
そこはやはりイジメられるヒロインが障碍者だから?
障碍者が善人・聖人に描かれているから?

障碍者側にしてみても、こういったフィクションものでいつも善人・聖人に描かれるのに辟易している人もいるようだ。

「はじめの一歩」のイジメ云々の話はもう25年くらい昔のことで、今はもっと現実的なものが求められているということなのか。

結局、漫画もアニメも映画もテレビドラマも小説も、「こうあってほしい」という夢や希望=理想を描くか、それとも「人間、きれいごとでは生きていけない」と現実を描くか、かもしれない。

自分の場合、物語を作る時、きれいごとはできるだけ排除したいと思う一方、夢も希望もない話にするのも躊躇してしまう。
(黒い気分の時は夢も希望も救いもない話にしてしまったりするが^^;)

理想3割、現実7割・・・を目指したい^^;
これはもう作り手さんそれぞれ違うのだろうな。

だから逆に、理想(きれいごと)10割の作品があったっていい。
受け手がそれについて「ああ、よかった」と思うのか、「非現実的だ」「うそっぽい」と思うのかも自由だ。

ただ「イジメ」を扱っているだけに、理想(きれいごと)は白けたり、ややもすれば怒りすら感じてしまうこともあるのかも。
イジメを受けた側はそれだけの傷を背負っているものなのかも。
そして善人ではいられない。

しかも、イジメたほうは罪の意識がうすかったりするんだよな。
(逆に罪の意識があるのなら救いはあるかもしれない)

酷いイジメを受け続ければ心は歪み、相手を許そうとは思えなくなる。
できれば復讐したいし、相手の不幸を望むだろう。

いじめっ子のために何かをしてあげる、助ける、救うなど・・・ま、ほぼありえないのも事実だ。そこまでの聖人はそうはいない。

そこで自分もこういった小説を書いたのだった。
(救いはありつつも、きれいごとは排除したつもりだ)

「蝉―僕のランク」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-05
※あらすじ→学校で下位ランクの『僕』、最下層女子『長山春香』に何を思う。
学園もの、うむ、ちょい辛め、シリアスで重いけど救いはあるのじゃ。

「あだ名―中秋の名月」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14-3
※あらすじ→白井月子が自分のランクを守るために犠牲にしたのは・・・
テーマはイジメ。己の容姿に劣等感を抱える月子が犯した罪とは。

「豚草―腐女子の誇り」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-19
※あらすじ→中学時代、下位ランクだった長山春香、白井月子、そしてもう一人「モヤシ」こと八島麗華の話。彼女は、長山春香を犠牲にした中学時代をどう想い、今、どうしているのか。

・・・・・・・・・・
余談。

椰月美智子氏の小説「恋愛小説」について。

この作品は、世間でいうランク下位=弱い立場である容姿にも恵まれないオタク女子が悪辣に描かれている。

それも恋愛、セックスという劣等感を一番刺激されやすいネタを使って、オタクデブス女子を嘲笑するシーンがしつこく表現されている。
(小説の中盤あたりから、オタク女子が登場し、美人主人公が異常なほどに嫌悪する)

劇中のオタク女子の描かれ方はただただ醜く、性格も横暴で無神経、共感できるところが何一つなく、救いもない。
そこには作者からの侮蔑と嫌悪が見て取れた。

しかも椰月作品は・・・「恋愛小説」だけではなく、短編作品にもオタク女子に対する描写があるのだが、そこでも一つもいいところがなく、やはり無神経で、全く共感できない性格に描かれていた。

そして、どちらにも「気持ち悪い」といった言葉が並んでいる。

児童文学のほうでイジメをテーマにした小説を書く作家さんだけに余計に違和感を持った。
「オタクに限りイジメていいよ、イジメられるオタクが悪いのだから」と言っているようで。

作家さんになる人は、どっちかというとオタクメンタリティを持っている人のほうが多いと思っていた。

なので、オタクに理解のある作家さんは、世間から嫌悪されやすいオタクを、嫌悪される要素も描きつつ、ほんの少しの救いや、あるいは同情・共感できる部分も入れる。

例えば、芹沢未央氏、窪美澄氏など。
この作家さんたちの作品には、蔑視や哂いはない。

いや、劇中ではオタクは、世間でいうところのランク上位者らに侮蔑されたり、嘲笑されたりはするが、傷つき劣等感に苛まれるオタク自身の心理描写も入れるため、読者はそのオタクキャラを哂うことはできないのだ。

けれど椰月氏の作品は違う。劇中に登場させたオタクの心理描写などないし、傷ついている様子も見せないので、読者もみっともないオタクを哂うことができる。

※ほかのキャラクターはそのようなことはない。オタクキャラだけいいところが一つもない。

椰月氏のオタクへの悪意が感じられる2作品にうすら寒い思いをした。

昔に比べて、オタクは認められてきたとはいえ、世間一般の感覚はおそらく椰月氏に近く、一部の者は気持ち悪がり嫌悪感を持っているだろう。

そんな作品に接していると、「聲の形」のような全く悪意のない作品にホッとするかもしれない。
B7JTiDhCEAAPDt3.jpg

※関連記事
「オタク女子を悪しざまに描く作品に物申す」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-20-3

・・・・・・・・・・
短編小説「縁」番外編のお知らせ。
上で紹介した3編に加え、こちらも紹介。

「お彼岸―アラフォー女子の幸せ」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-09-24-1
※あらすじ→恋愛や結婚を一歩引いて見ている冷静な未婚アラフォー女子が主人公。果たして彼女は勝ち組なのか負け組なのか。お彼岸のプチ知識など情報も入った軽く読める物語です。

「血液型診断―栗の節句」http://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-10-07
※あらすじ→若夫婦のほのぼのハートフルなお話。血液型、重陽の節句(栗の節句)の情報ネタ入り。明るい話で軽く読めます。

なお、短編小説「縁」本編の目次はこちらhttp://hayashi-monogatari.blog.so-net.ne.jp/2016-10-28


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